峠をこえて (2021年11月)
むかし2年ばかり四国に住んでいたころ、郡部に住む認知症の女性が自宅から行方不明になったことがあり、捜索隊が出て、無事に保護された。
自宅から離れた山中の峠のあたりにうずくまっていたらしい。
峠の向こうにはその人が子どものころに住んでいた家があったという。無事に見つかったから、そのあとのことはわからない。
それはだいぶ昔の話なので、峠の向こうにその人の家があったというのは、警官が言ったのか地元の記者から聞いたのか、それとも単に地元紙の記事を読んだのか。いまとなってははっきりしない。
2021/11/14記
〈解説〉断片的な記憶