親に夜景を見せた話 (2021年12月)

赴任先に親と妹が遊びにきたことがあった。

その街は町外れにちょっとした観光名所になっている山がある。妹の運転する車で皆を夕食に案内する前に、そこに寄って綺麗な夜景を見せ、その街で私の好きな場所だと教えた。

車に戻り、市街まで下りる間、父親は「なんだ。山の上に飯を食うところがあるのかと思っちゃったよ。つまらないね。くだらないね」とずっとぶつぶつ文句を言い続けた。

もちろん、すぐに名物が食べられる店に案内して、皆に豪華な夕食をおごった。

一般的に、自分の好きなもののことは迂闊に人に告げるべきではない。

自分の好きな場所を家族に見せたいと思ったのは、私の独りよがりだ。

親が夜景を喜ぶような人だと勘違いしたのも私が悪い。

しかし、言っていいことと悪いことがわからない人なら仕方ないけど、父親は小学校の校長まで務めた人なので、利害関係のある人にはきっとあんな失礼な発言はしない。

両親とも教師だったが、私は学生のころ、教職課程を取ろうかなという気にはただの1秒もならなかった。

2021/12/8記

〈解説〉どうでもいいような記憶

余談ながら、中野で区関係の会議などで小中学校の校長先生の話を聞く機会があり、教師でこんな立派な見識を持った人たちもいるのかと驚愕した。

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