タカマツ港に行った夢 (2021年11月)

「船に乗ったら休みが減っちゃうのに」

そう文句を言う妹と同乗したタクシーで、到着したのはタカマツ港だった。

車から降りると、薄い海霧に沈む港にフェリーが停泊し、母親が立っていた。

私はとっさに鞄の外ポケットをさぐり、母親に「財布を忘れた。家に帰って取ってくる。出港時間まで10分ちょっとあるから間に合うかもしれない。間に合わなかったら次の船で行くから」と告げた。

「次の船って……」とつぶやく母親を残し、タカマツ港の港湾施設から扇状に広がるタカマツ市の地下エリアをあちこち歩き回って、タクシーを探した。

地下エリアには電球色の明かりのついた露店が並び、通路は車でごった返し、空のタクシーもたくさん走っていたが1台も停めることはできなかった。

タクシーがぎっしり停車した営業所も見つけたのに、肥った愛想のいい係員に「タクシーはタカマツ駅の乗り場から乗ってください」と断られてしまった。

地下エリアの端から地上に出てみたら、星明かりの瀟洒な住宅街だった。

(財布がなくても母親に金を借りれば旅行はできるんじゃないか) と気づいたが、時計を見ると既に10分が経過していた。

(もう間に合わないから行かなくていい) と安堵した。

2021/11/28記

〈解説〉11/27の明け方に見た、ないとわかっている場所で捜しものをして時間切れを狙う夢。

ちなみにタクシーは現金がなくても乗れるが、それで言ったら旅行だって現金がなくてもできる。あと母親や妹と四国の高松市に行ったことはないし、もちろん高松港の周辺にこんな地下エリアはない。まあ夢の話だからね。

【PR】