雪山で事故死した同僚の話 (2021年11月)
前に働いていた会社の同僚は、趣味の雪山登山の事故で40代で死んだ。東京近県の寺の告別式に職場の人たちと行ったら、お母さんが彼の頭を抱いて撫でながらひたすら話しかけていたのが印象に残っている。
4月なのにとても寒く、中野の自分の家に帰る途中に通りかかった公園の桜が散りかけで、その後その時期に見ると思い出したりしていたが、数年後その木は強風で根元から倒れ撤去された。
最後のころの同僚は、新人で配属された女性の部下の面倒をよくみていた。
あるとき新人女性はファストファッションの取材に行き何かサンプルをもらって帰ってきた。取材の報告をする彼女に、同僚はぼそっと「あなたガタイがいいからそういうの似合うんじゃない?」と言った。
私は傍らで聞きながら、(多分その発言は褒めてるつもりなんだろうな) と思った。
同僚は生前、郊外のニュータウンに綺麗なマンションを買って好みの家具を置き、いいオーディオで音楽を聴いているとか、女性と2人きりで食事に行ったことがないとかいうような話を、職場でしていたらしい。
らしい、というのは私はたぶん10年くらいは同じ職場にいたが、彼と雑談するほど親しくなかったので、あとで他の人たちから聞いた。
2021/11/26記